2024-01-12
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□□◇□■ CM-RC.comと徐向東の中国マシンガントーク2024年1月12日
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今年(2024年)中国人のインバウンド需要の予測
~中国もM字型社会に向かう?日本企業としてどう対応すべき~
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みなさん。あけましておめでとうございます。
2024年の干支は辰(龍)。中国では龍の年と呼ばれています。
今年は空に舞い上がる龍のように飛躍する年になれば良いですね。
昨年、円安もあって、日本に訪れた外国人が多く、東京の至る所で
外国人観光客をみかけましたね。しかし、中国人の訪日旅行は、
2019年の水準を回復できず、他の国や地域に比べ勢いの欠く結果に
なってしまいました。
高層ビ林立の浦東から、上海旧市街地の浦西に車で移動する途中の夕日
(撮影:中国市場戦略研究所)
■さて、今年(2024年)の中国人のインバウンド需要はどうなるのでしょう。
中国のEV車の輸出が世界一に踊り出るなど明るいニュースもありますが、
かつて中国の経済成長の主役だった不動産が不振に転じ、輸出も伸び悩んでいます。
そのため、2024年の中国人の海外旅行や海外での消費はすぐに大きく伸びるとは
考えにくく、私は「2024年の中国人の訪日旅行数は2023年より微増」とやや控えめ
な予想をしています。
とはいえ、「増」を拡大する要因として次のような期待も持っています。
タイ、マレーシアそしてシンガポールなどは、中国人観光客の誘致拡大を狙い、
相次ぎ中国人観光客のビザ申請を完全に撤廃しました。
その影響を受け、日本もすでに成田空港からの入国手続きの簡略化を実現し、上海
などの地域における中国人の訪日ビザ申請の条件も以前よりだいぶ緩和されてます。
そんな流れもあってか、中国国内の経済成長の伸び悩みや若者の失業率の向上などの
影響を受けて、日本に留学にやってくる中国の若者の数も伸びています。
日本の外国人留学生の半分が中国人留学生で、年間10万人超の勢いで伸びています。
また、留学だけでなく、SNSなどを通じて触れ合う日本の流行文化などに惹かれ、
それを日本で現場体験してみたいという中国人の若者の日本旅行も増えています。
また、中国人富裕層による日本への移住、日本での不動産購入や会社設立などが
かなり増えていて、これまでの買い物訪日とは異なる動きも見られます。
中国人の訪日旅行は、かつてのモノの消費から、コトの消費へと、その流れが大きく
変化しているようです。日本企業としては、商品その「モノ」のアピールだけでな
く、それをめぐるリアルな生活体験など「コト」の要素を入れないと、だんだんと
中国の消費者に飽きられるかもしれない、というふうに考えるべきでしょう。
上海若者のたまり場・ショッピングモール「大悦城」の日本アニメやキャラクターグッズのショップに賑わう若者
(撮影:中国市場戦略研究所)
そして、中国にとっては自国内の経済の好転が今の至上命題です。
そのため、日、米との関係悪化を避けるべきことであり、福島の処理水などを理由に
した「日本叩き」の勢いは徐々に落ち着くと思います。
これらの点が期待通りならば、2024年の中国人訪日の数の増加が見込めると言えます。
ビザ取得の難しさや飛行機の欠便などなどの、これまでコロナ禍由来の異常さを
克服し、正常化に向かっていけば、訪日団体旅行客もいくらか増えるのではないで
しょうか。
■中国も今は、M字型社会になる傾向が強まっている
「団体旅行」に参加するのは間違なく中間所得層ですが、こうした中間所得層は、
中国の消費のボリュームゾーンでもあります。
コロナ後の中国では、不動産市場の落ち込みなどの経済成長の低迷に一番影響を受け
ているのは実はこうした中間所得層です。
中間所得層は事実上、消費力が低下し、「消費降級」という言葉が中国の流行語に
なっています。
2006年に大前研一氏が、長期低迷が続く日本について、「人口の8割が中流の下(ロ
ウアーミドル)に転落、真ん中の中間所得層が陥没するようなM字型社会へと移行す
る」と発表しました。
まさに今の中国ではこのような傾向が強く現れており、今後、これ以上悪くならない
ように、中国は有力な方策を実現できるかどうかが、重要ポイントといえます。
平日でも上海近郊の公園にテントを張って憩いする市民がいる。
コロナの後は、中間層にはこうした身近なレジャーやアウトドアが流行りになっている。
(撮影:中国市場戦略研究所)
■“福島問題”の影響が薄れていく
福島原爆の処理水(中国側は汚染水と呼ぶ)については、既述したように両国の関係
悪化は避けるべきとの考えの方が強いこともあって、時間の経過とともに、中国国内
の反応が徐々に落ち着いています。この問題に起因する日本製品への不安も、次第に
薄れていくのでしょう。
昨年(2023年)8月の福島処理水の初回の海への放出後に、中国の世論の反発が激し
く、ダブルイレブンまでの間に、有名な美容KOLさんはほとんどが、中国国内世論を
気にして、日本の化粧品発信をしないようにしていました。
ここ最近は状況がだいぶ落ち着き、当時に日本化粧品の発信拒否を公言したKOLの中
でもひそかに日本の化粧品を発信している人も出てきています。
最近では、中国国内の美容KOLなどと発信の相談をする際、日本製品だから引き受け
ないという人は少なくなっています。
日本の化粧品発信のほうは、福島処理水の「アレルギー」を比較的に先に克服できる
ように感じています。
■日本製品との接点のなさが危惧すべき
それよりも問題なのは、コロナ禍の影響で、2020年からの3~4年の長い間、日中間を
自由に行き来する人の数が減り、日本の新しい製品に対する中国人の認知が明らかに
不足しています。
特にコロナの間で大学卒業したZ世代などの新しい消費者層は、日本製品との接点の
なさが甚だしいのです。
この期間で、中間所得層の消費力の低下に伴い、海外の化粧品の「平替」、すなわち
同じ成分や効果を訴求しながらも、値段がよりリーズナブルな中国ブランドが急成長
しました。
単価1万円以下の価格帯、あるいはドラッグストア・コスメにおいては、日本製品を
購入する中国人の数がどんどん減っています。
コロナ前からずっと定番商品として中国人に売れている日本の化粧品なども中国コス
メなどの攻勢にさらされ、中国人の中で新鮮味の低下とともに売れ行きが落ちています。
このような中国社会の消費傾向の変化を十分に理解しながら、中国人消費者に合った
新たな情報発信や販促手法を積極的に展開する必要があると言えます。
平日でも上海近郊の公園にテントを張って憩いする市民がいる。
コロナの後は、中間層にはこうした身近なレジャーやアウトドアが流行りになっている。
(撮影:中国市場戦略研究所)
■2024年は、やるべきことをしっかりやっていく
年末年始ほぼ10日間上海に滞在していました。今回は日本のWifiを一切使わず完全に
中国のSNSしか見ない生活をしてみました。
やはり一番よく見るのは、ドゥイン(中国国内のティックトック)とREDです。
能登半島の地震が起きた直後に、それを同情できないような発言をした中国の地方
テレビのニュースキャスターがすぐ勤務先からテレビに出ないような謹慎処分を
受けたが、ドゥインの中では大きな話題を呼び、そのニュースキャスターを肩入れ
するような発信が多く見られていました。
他方、REDでは、このような話題がほとんど見かけず、逆に日本旅行などの発信が
多かったです。
ドゥインのユーザー層は、幅広いですがどちらかといえばドメスティックな意識・
生活が中心の一般大衆層。REDのメインユーザー層は、ハイクオリティの生活を求め、
海外と接点をもつ人が多いのです。ドゥインとREDのそれぞれのユーザー層がまさに
前述のM字型社会の2つの山になっているように感じます。
2つのアプリのユーザー層が違うため、日本に対する反応も微妙に違っています。
広い中国ですから、このように日本と距離感のある人はたくさんいますが、
同じくらい、日本に興味関心をもつ人も少なくないのです。
既に多くの情報が行き来する昨今においては、中国人全体が同じ価値観を持つ
ようなことはもはやないと言えます。
2024年は一方的なネガ情報に振り回されず、中国にいる自社製品を支持する層、
す支持る可能性のある層に対してやれることをしっかりやっていくことの方が
より重要ではないかと思います。
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