北京上海最新自動車事情

2007-11-21

中国では自動車金融など自動車関連のサービス市場がますます拡大している。外資の参入も盛んである。最近、自動車分野の調査やコンサルティングも始めており、情報収集にも努めている。中国の自動車市場にドイツ人もかなり注目をしている。昨日(07年11月19日)付けのドイツの日刊紙・ディ・ヴェルト(Die Welt)は北京上海のマイカー市場についての面白いデータを提示している。

北京と上海は中国2大都市だが、地理状況や都市計画がまったく異なる。華北平原の中心にある北京は都市面積を拡大する余裕があり、道路がまっすぐで広い(学生時代、北京で日本人の旅行ガイドのアルバイを勤めたときに、道路の広さにどれほど足が疲れたのだろうかを思い出す)。そのため、北京はアメリカの大都市に似ていて自動車社会に適している。

対して上海の道路が狭くて曲がりくねていて、都市そのものがさらに大きく広がる余裕もそれほどない(そういえば、上海で家電量販店の調査をしたとき現地会社社長の車に乗って狭い路地に入り抜け出せなくなった苦い経験があった)。そのため、1986年に上海市政府はマイカーの増加を制限するため、上海にナンバープレートの競売制度を導入している。マイカー購入意欲旺盛な上海では、ナンバープレードの競売価格もうなぎのぼり、今月の平均価格は一枚あたり5万4317元。車の値段がどんどん下がる中国では、上海のナンバープレートの取得価格は一台のエコノミカーよりも高い。

当然ながら、上海では車を買えるのはほとんど所得の高い層に限られ、マイカーは北京のように急速に増えることにならなかった。人口の数は上海よりやや少なく、所得水準も上海より低い北京では、マイカーの購入に一切制限を加えていないため、毎日1000台の新車が買われている。それに比べて上海では先月の一ヶ月間に競売に出したナンバープレートの数は10596枚で、そのうち、競売の中で実際に買われたのは7500枚である。

そんな北京と上海では、今、マイカー族をもっとも悩ますのは渋滞である。北京の最新調査ではもっとも渋滞の激しい道路では、車のスピードは1時間あたり12キロとなっている。こんなスピードなら自転車のほうがまだましではなかろうか。逆説的になるかもしれないが、中国で自家用車がさらに増やすには、まず地下鉄などの公共交通をもっと充実させなければならない。

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