■上海の高島屋が7年苦闘の末、ついに撤退を宣告することになった。
中国人も、やはり百貨店離れかと思いきや、東京や大阪の百貨店では、プレミアム化粧品を買う中国人がむしろ増えている。そして新宿や心斎橋のドラッグストアは、2、3年ほど前の「爆買い」のような勢いではないが、依然として中国人買物客でにぎわっている。
ここ数年、日本のドラッグストアに中国人客が多くやってきているのとは裏腹に、中国国内のドラッグストアの代表格の「ワトソンズ」では、来店客が減る一方で、かつての繁栄ぶりから見ると、大きな凋落になった。
「ワトソンズ」は最初が香港資本だったが、途中から大株主がシンガポールに変わり、今は、中国の巨大ネット企業の「アリババ」か「テンセント」のどちらかの傘下に入るのではないか、との噂が絶えない。
そして最近、中国のカルフールもついに中国企業に身売りになったのだ。カルフールはフランス系のスーパー。日本進出は失敗しているので日本では知名度がないが、中国ではスーパーマーケットといえば、カルフールなのだ。
30年前にカルフールが中国に入り、中国人には、「週末にはフルールで買い物する」というライフスタイルを普及させた。
メーカーや代理商に「入場料」を徴収し、「テナント業」という新しいビジネスモデルを確立し、まさに荒稼ぎしながら、あっという間に広い中国で数百店舗も増やして独占的な地位を築いた。
それをマネしながら、中国では、家電量販店やワトソンズのようなドラッグストアも、1990年代からわずか20年間の間に急拡大した。
しかし、ここ数年、ネット通販の成長によって、リアル店舗を展開しているカルフールもワトソンズもそして百貨店もどんどん窮地に追い込まれているのだ。
その大きな転換点は、2012年あたりだが、当時の多くの日本企業は、日中間の外交問題に目を引かれ、中国で起きている大きな流通革命に乗り遅れていたのだ。
実は日本国内での中国人客の買物の繁盛ぶりもこの中国の流通革命と大きく関係している。ソーシャルバイヤーが日本から買って、ネットを使って中国に簡単に転売できるようなったからだ。
スマホの普及によって、中国のメイン消費層はスマホ世代に変わってきた。巨大ネット企業のアリババなどは、オンラインにとどまらずスマホを媒介に、オンラインとオフラインの融合を目指し、ニューリテールを中国で進めている。
カルフールやワトソンズなどもこれからニューリテールの波に巻き込まれながら新しい業態に変わっていくだろう。
先月に中国の夏の通販祭りが終わったばかり次には、ダブルイレブンという毎年の巨大通販祭に備えて各企業が準備を始めている。
中国人はいま、どのように日本の商品を買っているのだろうか?オンラインとオフラインはどのように融合しながらお客さんの買物が実現されているのだろう。
手にスマホ一台で、どのように情報にアクセスし最後に買物に至ったのだろう。
日本商品をめぐる最新の情報接触や購入までの流れなど中国の今を、皆さんとシェアしながら情報交換できればと思います。
こんな感じで、2019年7月18日と19日久々の自主セミナー「ニューリテールがもたらす中国人買物大革命 ~」についてお話します。
最近終わったばかりの夏の通販祭(618)の総括や次のダブルイレブンの展望についても触れておきたいと思います。