2019-03-14
市場調査をして今後の市場を予測し、市場細分化を経て、対象市場で自社品を買ってくれそうな顧客ターゲットを設定、そこへ向けた自社品のポジションを決め商品情報を発信する、、、これまでおこなってきてそれなりの効果が出ていた従来のマーケティング手法・・・それが中国市場を相手にすると何故かうまくいかない、、、そんな声を日系企業のマーケターの方々から聞きます。
今年初めにスタートしたEC法は可決されてから4カ月で施行というスピードだったため、市場予測をどう修正するか、準備していた販促をどうしたらよいのか、悩まれた企業の方も多かったのではないでしょうか。
中国市場で、欧米や韓国の企業は日本企業に比べて成功しやすいようです。こうした企業のマーケティングの特徴は、比較的短いスパンに注力した販促策を打ち、それによる市場の変化を観察して、また次の施策を打ってくることです。
従来のマーケティングは、市場を予測して目標を設定し、それに沿った販促を考え、KPIを設定し、販促実施後に販促計画を見直すというコトラーの提唱した方法を実施してきました。
計画内容を改善していき汎用化していく、実験科学的アプローチに重点が置かれていると思います。
この手法は、市場の変化はある程度ゆるやかで法則性があり、売上の構成要素が把握でき、未来予測が可能という考えが前提にあります。
しかし、3年売れていればロングセラー商品といわれるほどプロダクトライフサイクルが短く、政策がコロコロ変わる中国市場ではこのコトラーのSTPマーケティングがどうもしっくりこないことが多いように思えます。
そのため、初めにきっちりした目標設定はせず、手元にあるツールや技術などのリソースでどのようなことが実行できるかを考え、それらを少しずつ試しながら、その試す過程で関わるさまざまな外部との相互作用を取り込みながら、そのときどきの状況変化を観察して、より良い結果になるように柔軟に動いていきます。
一期一会の現象にも注目し、その裏にあるニーズを探りながら、市場の見方・考え方を汎用化していく、観察と仮説設定を中心にした野外科学的アプローチに重点がおかれていると思います。
言い換えると、従来は市場機会を発見して目標を設定しそこへ向かうという考え方でしたが、エフェクチュエーションでは市場機会を手持ちのリソースを使って創り出し、市場の変化を観察しながら適応させていく、という違いがあります。
この本を書いた米国バージニア大学の教授は中国市場を意識したわけではないですが、中国市場でうまくいっている欧米や韓国企業の考え方に似ていると思いました。変化の速い中国市場でのマーケティングを考える上で、今後もさらに調べていこうと思っています。