2018-07-02
上海流通最前線!! ~無人コンビニの価値とは~
最近、弊社のクライアント様からも、無人コンビニ等の店舗について、「どのような店舗があるのか」、「視察ツアーはできないか」等の問い合わせが増えています。また、日本のメディアでも「日本の流通は無人化や支払いのスマホ化が遅れている!」など、日本の流通に対しての遅れを批判するような記事が目につきます。
では、皆さんは、「無人コンビニ」と聞くとどのような店舗をイメージしますか?
入口でしっかりと本人確認・認証をし、店内の多くのカメラによって、買い物かごにいれるだけで精算がされているような、近未来を描いたB級映画レベルの、確かに便利かもしれませんが、なんか息苦しいですよね。。。
・・・昔の映画で、人間を極小化し、体内に送りこみ治療するという「ミクロ決死圏」のようです。出口は排泄物では映画になりにくかったのか、最後に涙の中から出てきたのには違和感がありましたが・・・まさに、大型の自販機の中に入りこみ、商品を買って、一緒にでてくるというイメージです。あまり利用したいと思わないのは私だけでしょうか。
今回視察した店舗はこのタイプの店舗ではなく、日本にもあると便利で、利用したいと感じた店舗でした。
そもそも普段コンビニを利用していてこの点はなんとかならないかなと思うことって何でしょうか?1つは、レジに並び、場合によっては時間がかかるという点ですよね。朝の出勤前にコーヒーや軽食を買いたいけど並んでいるから諦めたことってありますよね。2つめは、なんとなくだったり、買いたい賞品によっては、店員さんに見られたくない、接したくない時ってありますよね。
この2つを解消できるのが今回視察した店舗でした。
入口で面倒な本人確認のような入店儀式はないので、普通に入店できます。支払い方法は2つの店で異なってますが、どちらも大きなストレスはないと思います。
1つは、ゴリラがキャラクターの「猩便利(ゴリラコンビニ)」。スマホに予めインストールしてあるアプリにアリペイ等から金額をチャージしておき、棚で手に取った商品ごとに、買うことを決めたら、スマホのアプリでバーコードを読み取って清算するだけです。
ちょっとストレスがあるとすれば、予めスマホにそのチェーン店の支払アプリをインストールして、チャージしなくてはならない点ですね。ちなみに、出口で支払い完了のスマホ画面を機械にかざしてもかざさなくても退店は可能です。かざさなくても退店できるということは、弊社上海社員が実際に体験して証明しました。店舗側も退店と支払完了の有無についてはどこまで強制的にするかを悩ましく思っているようです。
もう1つの方がよりストレスのない店舗の、カバがキャラクターの、アリババの無人コンビニ「F2」。ここは、商品読取支払の小さな機械が店内のあちこちに置いてあり、そこの機械で買いたい商品をスキャンして読み取らせ(自身のスマホでも可)、最後にアリペイで支払うというシンプルなもの。こちらも事前に専用アプリのダウンロードが必要ですが、アリペイが既にできる人ならば特にチャージは不要です。退店方法については、何で制御しているかわかりにくいので、上記の「猩便利」より洗練された印象はあります。店内にはかなりのカメラも設置されていましたし、まあそんなことをやってみようなどと誰も思わないと思いますが・・・
店内は陳列をするための人もいますし、今はまだ新しいサービスのためか、相談担当の人もいます。F2に至っては、店内調理をしてイートインできるスペースもあるため、お店の人はたくさんいるので無機的な感じはまったくありません。
利用者の顕在的・潜在的なコンビニの価値を保持しつつ、不満点を改善している点がこれらの店舗の価値と思われます。日本への逆輸入は遠くないようですね。
(北村光晴)