「中国企業の生み出す最先端のイノベーション戦略」

2018-06-29

週末に教えている大学院の授業で、来日したばかりの中国人女子留学生がグチをいう。「食事をするために、毎回、外に出かけなければいけないのはとても不便だ。」「え?!東京の外食産業がこんなに発達しているのに、何が不便ですか?」と不思議に思うかもしれないが、中国に最近まで住んでた人にとってはそう感じるようだ。

中国では、気軽にフードデリバリーを頼んでいて、だいたい30分内に、食べたいものを届けてくれる。日本では、あまり自炊しない学生は、お腹が空いたら外で買ったり、食べるしかない。女の子なので、外に出る時はやはりお化粧をしないといけない。それが毎回不便でしょうがないのだ。


 

日本にも「出前」はあり、最近は複数の店舗にまたがってデリバリーしてくれるサービスもあるが基本は店舗単位。数回頼んだら飽きてくる。

北京や上海なら町中のレストランはほとんどフードデリバリーのAPPと契約しているので、食べたいものは、なんでもスマホのAPP一つでフードデリバリーしてもらえるのだ。毎日違う食事を頼めるし、友達とは「どこそこがおいしい」と楽しく情報をシェアして気軽に頼んでいるのだ。

もちろん支払いもスマホ決済で済ましています。今は、上海での現金の使用率は5%を切っているといわれるほどだ。

5月に上海で日本商品の体験イベントを行った時、日本人のクライアントと、上海市内大学キャンパス内を散策してみました。まず驚いたのは、学生寮の前に次々にやってくるフードデリバリーのオートバイ。学食がすぐ隣にあるのに、大学生は、みなフードデリバリーを頼んでいる。

そしてもう一つ面白い発見は、キャンパスに急ピッチで作られている巨大な宅配ボックスです。中国の大手通販や宅配者会社の名前が書かれている巨大宅配ボックスがずらりと立ち並ぶように、工事が進んでいます。

日本の駅でみたコインロッカーをはるかに超えたおびただしい数の宅配ボックスが、何列も立ち並んでいるのだ。それまでは宅配された商品は集積場に、乱暴に山のように積み上げられていたことを考えると、かなりの改善が期待できそうです。

こうした斬新的な仕組みを進めている主役は、アリババやテンセントといった中国のITやネット通販企業です。私が教えている大学院の授業では、日本人の学生が、こうした中国企業の組織やビジネスモデルそのものが自分が働いている日本企業と大きく違うのではないか、と気づき、中国の新興企業のあれこれを調べて、「フラットな組織」や「プラットフォームビジネス」といった中国企業ならではの特徴を授業で発表してくれました。

こうした中国企業が生み出した新しいイノベーションの多くは、もともと中国特有の社会問題の解決から生まれた仕組みで、ITやスマホの応用技術をとことん追求した結果、便利でハイスピード、そして高効率のビジネスが生まれています。

今回のセミナーは、こうした中国のイノベーションの最新事例を紹介しながら皆さんとともに考えてみたいと思います。ぜひ奮ってお申込みを賜ればと思います。

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