『訪日爆買い』が終焉し中国人向けビジネスの火は消えた?

2016-06-21


★ 今回のトピックス★

1『訪日爆買い』が終焉し中国人向けビジネスの火は消えた?

2.越境ECで販売する日本商品のCFDA適用は延期となった

3.ジェトロ「中国経済」誌が弊社「中国越境EC最新動向」を掲載


◇◇◆~1.『訪日爆買い』が終焉し中国人向けビジネスの火は消えた?~

最近の中国人観光客向けのインバウンドビジネスに対するコメントでよく目にするものの中には、「中国経済のバブルがはじけ、日本が歩んだのと同じように低成長の時代になり、観光客の買い物需要は期待できなくなる」というものがあります。

この手のコメントは、冷静に考えると、長く景気が低迷する我々日本人のやっかみのような深層感情にすっぽりとはまっているから流布しやすいと言え、本当のところは違うのではないでしょうか。

【中国経済の成長は終わった?】

細かな話は専門家に譲るとして、成長は終わったのではなく、成長途中の切り替えのタイミングにあり、踊り場に差し掛かっているだけと考えられます。しかもこの切り替え対象は主に2つあり、ややてこずっているようです。1つは「世界の工場」としての第2次産業中心の成長から、一大消費国としての第3次産業中心の成長への切り替え。もう1つは、沿海部から、依然格差の大きい、インフラが発達途中である内陸への切り替えです。

【観光客は減る?】

2015年は前年比倍以上の500万人が訪日し、今年も1~5月で前年比4割以上増加しており、単純計算では2016年は700万人越えが見込まれます。

【観光客は爆買いしなくなった?】

中国人頼みの国内百貨店の宝飾品の売上は落ちているようですが、ドラッグストア等は引き続き好調のようです。「ロレックスを何個も買う」ようなニュースになる爆買いは、円安効果が薄れたため減っていますが、これまでの化粧品中心から、頭痛薬、ニキビクリームなどの医薬品や、歯磨きやグラノーラなどの日用品や食品まで購入対象は広がっています。

また、「モノ⇒コト」と言われるように、買い物だけでなく、温泉を利用したり、グルメやスキーを楽しむなど、サービス分野に落とすお金も増えています。この消費意識の変化は、日本が数十年前に経験したバブル期の動きと同じで、なんら違和感はありません。

要するに、中国人の訪日時の消費は、一点あたりの購入点数は減ったとしても対象となるカテゴリーはかなり幅広くなったと言えます。

【訪日爆買いだけが中国人向けビジネスではない】

ネットが先行する中国ではEC市場が巨大です。どのくらい巨大かと言うと、60兆円を超えており、最大手タオバオの通販祭1日で楽天の半年分の売上を上回るとのこと。さらに2014年を元年に「越境EC」の制度が認められ、これまでは輸出のために各種手続きが必要だった商品が、ECであれば売れるようになったのです(各種条件はありますのでご注意ください)。

この越境ECも既に4兆円くらいに達しています。また、グレーな経済活動ですが、並行輸入業者の持ち込みによる市場も大きく、同じく4兆円を超えるくらいのボリュームです。

つまり、中国人向けビジネスは、何も旅行に来ての買い物だけではなく、「越境EC」や「並行輸入業者」を通じても多く買われているということです。

これは、持ち込みの制限や規制をはじめとした国の施策を対策で返した結果ですが、言い替えると、何としてでも買ってもらえるように、多くのたくましい業者が頑張っている結果なのです。そしてこの根底には、「魅力ある商品をぜひ買いたい!」という消費者の強い意欲があるのです。

狭い視点で「訪日インバウンド市場」だけを見ていますと、既に中国人向けビジネスが終焉したかのような誤解を招くかもしれないですが、実際はそうではなく、消費者の強い意欲を背景に、消費対象も消費方法も広がっていると言えます。

以上より何を優先するとよいか・・・・・「越境ECに出店すべきか」などと売り方に悩むのではなく、「欲しい・買いたいという気持ちを高めること」に注力した方がよいと言えるでしょう。

◇◇◆~2.越境ECで販売する日本商品のCFDA適用は延期となった~

中国の越境ECは去年、急成長しました。日本の商品は今、越境ECを通じても中国に売ることができるようになりました。

ところで4月から越境ECの税制が変わり、去年から導入されていた「税金50元未満なら免税」のような優遇策がなくなりました。この新税制の変化などが注目され、弊社のセミナーも大盛況でした。

5月24日に、中国関税総署から越境ECについての新しい通達があり、税率の変化は確実となったが、日本製品のCFDA、つまり中国薬品食品管理監督総局のライセンスの取得義務は延期になることが確実となり、多くの日本企業もホッとしたでしょう。

以下は、この新しい通達の全文です。皆さんのご参考のために日本語に翻訳しました:

中国関税総署越境EC小売輸入の新しい管理要求の実行の関係事項についての通知

各直属税関:

最近、中国政府財政部(日本の財務省に相当)と関係機関が「越境ECの小売輸入関税政策の過度期に関する管理案」(以下“管理案”と呼ぶ)を起草し、国務院も批准した。本管理案は越境ECの小売輸入に関する新たな管理要求を明確にした。業務が滞りなく行うために、以下の内容を通知する:

一、ネット通販の保税モデルの新しい管理要求について過度期内、保税区モデル都市(上海、杭州、寧波、鄭州、広州、深セン、重慶、天津、福州、平潭)は新税制実施前と同様な管理を行う、つまりネット通販の保税商品が関税特殊管理区域あるいは保税物流センターを通る際に、暫時インボイスのチェックを行わない。

また「越境ECポジティブリスト」内に記載されている化粧品、ベビー粉ミルク、医療器械、特殊食品(保健用食品、特殊医学用食品を含む)の輸入許可証、CFDAへの登録或は報告について要求を行わない。

二、直売モデルについての管理要求過度期内、また「ポジティブリスト」内に記載されている化粧品、ベビー粉ミルク、医療器械、特殊食品(保健用食品、特殊医学用食品を含む)の輸入許可証、CFDAへの登録或は報告について要求を行わない。

三、その他の事項について

(一)本管理案は、新しい管理要求の過度期を1年間、2017年5月11日(11日を含む)までで終了と定める。

(二)ネット通販の新しい保税モデルの管理要求を実施するために、税関総署は関連システムとプログラムを同じ時間に修正を行う。修正が終了するまで、各保税区モデル都市の関税は、暫時、スタッフの手操で行う。

以上の要求を遵守して執行してください。

問題が発生したら、随時総署への報告をお願い致します。

中華人民共和国海関総署弁公庁

2016年5月24日

◇◇◆~3.ジェトロ「中国経済」誌(2016.6)が弊社「中国の越境EC最新動向」の論文を掲載~

ジェトロ(日本貿易振興機構)発行の「中国経済」誌(2016.6)が弊社「中国の越境EC最新動向」の論文を掲載した。これは日本国内において現在、最も注目される中国の越境ECについて最も詳細かつ正確な解説論文として注目されている。

他にダイヤモンド雑誌や毎日新聞などに掲載、発表された弊社の中国ビジネスに関する最新の見解もご注目賜れば幸いです:http://a00.hm-f.jp/cc.php?t=M440316&c=5687&d=f346

■弊社メルマガのURL: http://a00.hm-f.jp/cc.php?t=M440317&c=5687&d=f346

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