日本の10倍になる中国のシニア市場に攻め込むには...

2014-10-31

WHO(世界保健機関)の推計によると、来年(2015年)にその数は2億人近く、そして15年後の2030年にその数は3.5億人になります。

今、日本では65歳以上の人口は3,000万人超ですが、中国ではすでに日本より高齢者が1億人も多いというわけです。

先月(9月)23日に、中国政府の「全国老齢工作委員会」が中国初の高齢者産業の白書を発表しました。この「中国老齢産業発展報告(2014)」によると、今年(2014)から2050年、つまりこれからの36年間に、中国の高齢者消費市場は今の約4兆元(70兆円)から106兆元(1800兆円)まで拡大していく見込みです。(以上は1元=17.5円で計算した。)日本のシニア消費は100兆円市場だと言われますが、中国のシニア市場も今はすでに日本に接近しており、将来的には日本の10倍や20倍のように大きくなっていくわけです。いずれ世界最大の高齢者市場になったとしても不思議ではないでしょう。

★市場は大きいが、まだ未開拓のままです。

市場規模は大きいにもかかわらず、中国の高齢者市場はまだまだ未開拓市場と言っても過言ではありません。これからの大きなビジネスチャンスとしてまず養老施設が挙げられます。中国では、国がやっている養老施設は多くても200万人の老人しか受け入れられないと言われています。民間の養老施設でも1000箇所しかないのでその数は明らかに不足しています。

養老施設の建設には、政府は低価格で土地を提供し税金も減免するので大きなリターンを狙う外資は最近、この分野への進出に積極的です。すでに北京や上海などの大都市、あるいは気候や景色に恵まれる土地で外資が富裕層向けの養老施設を急ピッチで建てています。

中国では健康意識が高まっているので、高齢者における保健食品などの購入ニーズが拡大していますそれに対して高齢者用の機材や器具などの認知と利用はまだ非常に少ない。今後は、こうした市場の育成が必要です。

★高齢者の購買力は決して小さくない

さて中国の高齢者の購買力はどうでしょうか?まず都市部であればほとんどの高齢者は毎月きちんと年金をもらっています。さらに経験や技能をもつ高齢者は、会社に再雇用されたり、パートで働いたりするチャンスもあります。もう一つ日本と違うのは、中国では子が高齢の親に仕送りをすることもよくあります。そうしたことを考えれば、中国の高齢者の購買力は決して小さくありません。

★狙い目は高齢者よりもその子

現在の中国の高齢化社会は「421社会」だと言われています。これは「夫婦2人に子供が1人、面倒を見る必要のある高齢者が4人」ということですが。これは中国の典型的な家庭構造になりつつあります。一人っ子政策が長く続いたため、働きざかりの30~40代の夫婦は、もともと兄妹のない一人っ子が多い。彼らには今、子供は1人しかいないが、高齢者になった夫婦双方の親は合わせると4人もいるということです。健康知識が多い30代~40代の世代が高齢の親の健康を気遣って、色々とモノを買ってあげることは中国では一般的です。上海ではある高齢者家族の消費動向調査では親によく買ってあげるものとしては、健康食品(38%)、健康補助食品と薬品(33%)、そして衣服(19%)が挙げられています。

★シルバー用品を扱うお店が不十分

ただし問題は、高齢者向けの商品・サービスが足りなさすぎることです。中国ではまだシルバー用品専門店が非常に少ない。高齢者向けの商品は、薬局や医療機器専門店の一角にある健康食品や健康器具コーナーに少し置いてあるくらいです。

最近、ネット通販では高齢者商品の販売が増えています。シルバー用品通販の専門サイトも出て来ております。

★屋外活動にアクティブな中国の高齢者に売るには、、、

日本人が中国に旅行にいくと必ず感心するのは、街の公園や広場に行くと、そこにはたくさんの高齢者が集まり、太極拳、体操、合唱、将棋、ダンス、カラオケ等々、皆が朝晩、アクティブに活動していることです。この光景は中国の公園の風物詩とまで言われています。中国の高齢者は、自分の健康は自分で守るという意識が強く、こうした屋外の活動に積極的です。そのため、若者以上に、中国の高齢者には「口コミ」が効きます。実は中国の健康食品のメーカーは、こうした高齢者のライフスタイルをよく知っており、こうした場所を活用して、高齢者に新商品をアピールしたりサンプリングしたりしています。時には高齢者を集めて観光地に案内する無料のバス旅行まで提供しています。

中国の高齢者市場を狙う日本企業も増えてきていますが、高齢者市場は、若者市場以上にドメスティックな世界です。中国ならではのノウハウや知恵がさらに重要になります。これからは中国の高齢者市場に関する調査やプロモーションなど、ぜひ弊社からどんどんご提案させていただきたいです。

(東京オフィス 林英姫より)

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