■ 想像を絶する中国のネット通販祭

先週、中国で最も注目されたのは、11月11日のネット通販祭りだっただろう。11月11日は「1」が4つも続くので、中国の若者は、冗談を交えて「光棍節」、すなわち「ひとりぼっちの日」と皆で呼んでいます。そして3年前から、ネット通販最大手の「タオバオ」がこの日を使って、年間最大バーゲンセールをやることになりました。

サイト内の店舗がこの日に一斉に「50％オフ」の割引セールを実行するような販促イベントですが、タオバオサイトには、今、店舗数はなんと900万にも及ぶので、このイベントの規模はまさに想像を絶するようなものです。彼氏や彼女がいないから、独身の日にいっぱい買い物して、自分を慰めてはどうですか？

こんな発想から生まれたこの「ネット通販祭」ですが、今は、もはや「独身の日」とは関係なく、中国全土、いや、全世界で注目される一大祭りになったわけです。

■ 一日にして日本最大の百貨店の２年分を稼ぐ

昨年（2012年）の11月11日には、中国ネットショップ全体の売上高が191億元（約2900億円、1元＝16円）もあったわけで、今年の11月11日は、果たしてどこまで売上が拡大するだろうかと、皆が首を長くしてその結果を待っていました。そして先週月曜日11月11日の深夜24時の祭り終了時に出た数字は、世間をさらに驚かせた。なんと1日の取引額は350億元（約5,600億円）超。まさに驚異的な売上を記録しました。

日本の百貨店店舗別売上高ランキングをみると、2012年のトップは伊勢丹新宿本店で約2368億円。中国のネット通販祭は、まさに一日にして、日本の最大百貨店の２年分の売上を稼いだわけです。この祭りに便乗して売上を伸ばしたのは中国企業だけでない。ユニクロなどの日本企業も少なくありません。そのような日本企業のなかで、紙おむつメーカーが2.5億円、化粧品メーカーが1億円など、1日でこれほど驚くべき売上高が出ています。

■ ユニクロに学ぶ通販祭活用法

急成長する中国のネット通販。今後中国で、ネット通販を活用して売上を伸ばしたい日本企業も増えるだろう。しかし、「参加すれば売上が上がる」というような安易な考えは大間違いです。まずは目的を明確にしなければなりません。「ネット通販祭」をただの安売りイベントではなく、新規顧客獲得を狙うチャンスとして捉え、いかに今後の展開を有利にするかの施策を考えるべきでしょう。また、イベントの前からの情報収集も大事。消費者はどのような商品に興味ありますか？他社と一線を画す魅力的な商品を出せるか？たとえば日本の隠れた人気商品があるのではないか？こういった情報を積極的に集め、この日に向けての宣伝も怠ってはならない。ユニクロはタオバオを運営するアリババ社のB2Cサイト「Tモール」に出店しているが（上の写真）、今回の祭での売上は「Tモール」内の6番目で、この日に1.2億元、すなわち20億円近い売上を稼ぎました。ユニクロは、在庫処分のような売り方を一切せず、売れ筋のダウンジャケットなど最新商品をイベントに出品しました。そしてその日に百数十名もの顧客対応スタッフを待機させ、それぞれの地域に強い宅配会社を使い分けして、宅配の届かない地域には、紛失の心配がないEMSで郵送する体制も整えました。この体制は年末までも続くそうです。急成長する中国のネット通販。それをうまく使えるかどうかは、中国市場をどれほど重視しているか、そしてどこまできちんと情報を収集できるか、最後にどこまで真剣に対応しているかにかかっているといえるでしょう。

（中国市場戦略研究所　上海現地　ジェニファーより）

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