2013-08-01
環境汚染のせいか、上海オフィスの男性社員が外から戻ると不思議なくらい顔が黒くなってしまいます。そんな時は皆、日本土産にもらった洗顔シートで顔を拭きます。日本製の洗顔シートはとても細かい繊維であぶらや汚れを落とすと大好評です。上海のドラッグストアに似たような商品を探しに行きましたが、置いてありませんでした。このように、日本では当たり前に存在する男性スキンケア商品が、中国ではまだ誰も思いついていないのです。
中国の女性はスキンケア商品の機能性、コストパフォーマンス、口コミなどを重視して買っています。一方、男性はどうやら違うようです。たとえば最近弊社が上海でやっている男性消費者のヒヤリングを聞いていると、「パッケージ、つまり外観デザインの格好良さが初購入の主因だったりすることが多いようです。
日本の化粧品やサプリメントに詳しい上海女性がどんどん増えているが、対して、日本の男性向けのスキンケア商品やサプリメントなどはまだあまり知られてないようです。でも実はこれから中国で大きな成長が期待できる魅力的な市場になると私は思います。同じアジア人であるため、体や肌に合う日本商品は非常に競争力があると思います。でも残念なことに、こういう分野でも日本企業は欧米や韓国企業に遅れをとっているのです。例えば、最近、ロレアルが中国で男性BBクリームを売り出したが、18~25歳の「90後世代(1990年代生まれ)」の若い男性をターゲットとし、他人より先に新しいモノを使いたいという若者心理を捉え、「我是先型者」(私はカッコ良さをリードしている)
というキャンペーンを展開し話題を呼びました。
テレビ広告のような伝統メディアを一切使わず、若者が好んで使っている「微博」(中国版フェースブック)と「微信」(中国版Line)で男性のBBクリーム使用、使用方法を教えている。そうしたら僅か2ヵ月でその情報が3500万人の目に届き、キャンペーン参加者が30万人超となった。中国のSNS最大手の「新浪微博」でやっている同商品のキャンペーンページを調べてみたら、閲覧回数だけでも延べ560万回、商品サンプル申請者が約7万人、さらにネット通販のほうでは同商品が売り切れになってしまった。中国人男性消費市場だけでも日本の人口の5倍はある。未成熟な市場だからこそ、失敗を恐れず、一歩でも先に走り出すことが成功の鍵になります。
(中国市場戦略研究所上海現地会社 王健)