2013-06-05
中国経済網によると中国13省は労働者の最低賃金を引き上げ、その中に上海市は最低賃金が1620元/月で中国最高だという。
下記は中国13省(直轄市)の労働者の最低賃金だ。
上海市:1620元/月;広東省:1550元/月;天津市:1500元/月;浙江省:1470元/月;
北京市:1400元/月;山東省:1380元/月;山西省:1290元/月;河南省:1240元/月;
江西省:1230元/月;広西省:1200元/月;甘肃省:1200元/月;陝西省:1150元/月;
貴州省:1030元/月。
また、福建省、安徽省、遼寧省は最低賃金の調整の意欲をも示している。
⇒上記の最低賃金を引き上げた都市はほぼ沿海地域だ。製造業企業にとって人件費の上昇を意味することだが、中国消費財市場を開拓したい企業にとって、消費力アップを意味することだ。そのため、中国市場進出の目的に合わせ、中国のデータに基づき進出地の選別は重要だろう。
トヨタ自動車の第一四半期の中国販売台数は前年同比12.7%減の184,700台だった。日産自動車は第一四半期の中国販売台数は前年同比15.1%減の284,000台だった。ホンダは第一四半期の中国販売台数は前年同比5.2%減の148,082台だった。
⇒3社の第一四半期の販売台数からみれば、回復の始まりとは言えない。日中間の領土問題で日本製品の不買運動を引き起こしたせいと思われるのだろう。しかし、弊社で実施したインタビュー調査等から、中国では日本車に対しては「燃費の良さ」が高く評価されているが「ボディーが薄く、安全性に不安」との声を聞くことがよくある。そのため、商品が売れないことを政治問題のせいにせずに、真剣に中国消費者ニーズを理解することは大事だろう。特に「中国消費者にとっての安全・安心とは何か」ということについて深く理解しなければならない。
世界観光機関によると、2012年中国はアメリカを超え、世界最大な海外旅行消費国となった。中国人観光客による海外旅行先での支出額は2012年、史上最高額の1020億ドルとなり、前年比40%の大幅増となっただという。
⇒去年の領土問題で中国人の日本旅行は自粛ムードになった。今年に入り、中国人観光客がだんだん戻ってきているが、まだまだ去年9月以前の水準に達していない。今円安がどんどん進んでいるため、中国人観光客を呼び戻すいい機会とはいえよう。そのため、ターゲットがよく利用している情報収集ルートをしっかり分かった上で、積極的な情報発信・告知が重要になるだろう。
中国のスポーツ用品大手の業績は悪化している。「李寧」などスポーツ用品大手6社は昨年に大量閉店を実施し、6社で約5000店閉鎖したという。また、6社のうち、昨年に増益となったのは中国動向集団だけで、残りの5社は平均で16%以上の減益となった。しかし、こうした中、アディダスの売り上げは前年比15%となり、中国市場での逆襲とは言えよう。
⇒近年のアディダスの中国市場戦略について情報を収集してみた。その中に中国全国各省、中小都市の人口、経済、小売、外食などのマクロデータについて、徹底研究してきたことが分かった。さらに、アディダスは2013年に中国の内陸・中小都市で800店舗を開業する予定だ。要するに、アディダスの逆襲のキーワードは「データ」「内陸」「中小都市」だ。後発組といえる日本企業はアディダスの中国戦略を参考しながら、内陸・中小都市の市場戦略を考えるときが来ているだろう。
習近平国家主席の外訪の際に、彭麗媛夫人が同行した。彼女が身につけたファッションが注目を集めている。衣服の制作を担当した中国ブランド「例外」は一夜にして爆発的な知名度を得た。同ブランドの製品は品薄となっていた。さらに中国アパレル関連株の株価が急に上昇した。
⇒中国の製造業はすでに競争力をつけている。さらに衣料品の生産能力は世界一といえよう。彭麗媛夫人は中国ファッション業界と自主ブランドに莫大な自信を与えた。こうした情況の中、外資系企業にとって、いかに差別化できるかは中国市場戦略の大きな課題になる。徹底的な消費者分析が必要になるだろう。