【中国市場調査の盲点】移民都市・深センと化外の地・広州

2007-02-28

広州と深セン。両方とも中国の重要な都市。

広州は北京、上海と並ぶ三大都市。深センは、故・鄧小平が主導の下で作られた改革・開放の実験都市。同じく広東省に属する高所得の街であるにもかかわらず、意外にかなり性格が異なる街である。

下記はそれを裏付ける面白いエピソード。欧米系広告大手のサーチ&サーチが広東省で市場調査をしながら面白い現象に気づいたという。

広州など広東省のほとんどの地域の人々は、標準語のTV番組を嫌い、中国のNHKとも言われる、中央政府系の中央テレビをまったく見ないが、広東語で放送する香港のテレビばかりみている。

昔から、広東省は中央政権の力が及ばない化外の地なので、権威に従う習慣がなく、みな個人事業主のようで、活気に溢れている。

だが、サーチ&サーチが同じく広東省にある深センを調べてみて気づいたのが、広州とは違って、深センでの中央テレビの視聴率は意外に悪くない。

いろいろ分析してみれば分かったのは、深センは移民の街で、特に北京の中央政府関連の会社が投資して作られた会社も多く、北のほうから移住してきた人も少なくありません。

しかしですが、北京の中央テレビ関連のテレビ視聴率調査会社が提供したデータをみると、深センも広州と同じように、中央テレビの視聴率が低いということになっているので、サーチ&サーチはこの結果に疑問を抱き、いろいろと検証してみました。

検証した結果で分かったのは、その調査会社が深センで調査した時には、昔からずっと深センに住んでいた古い住民ばかりを対象にしていたため、深センの真実を反映しない調査結果を作り出したとのことです。

中国のローカル調査会社にありがちなことですが、つまり、調査会社のリクルート部隊は昔から住んでいる庶民層の中ではネットワークをもっているが、高学歴の移民層に対するネットワークが弱いということです。何も深センだけではない。私たちもこれまで日本企業のために、中国で市場調査を実施するときに、北京や上海でも何度も遭遇した問題です。

日本企業が、巨大な中国市場のこうしたいろいろ盲点に、果たしてどれほど気づいているのでしょうか。

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