2007-02-14
先日、留学生向けに発行している新聞『向学新聞』の取材を受けたが、その内容を掲載された新聞が届いてきました。少しでも留学生にとって励ましになっていれば嬉しいですが...
〔タイトル〕
〔本文〕
――留学生の就職の問題についてお願いします。
留学生が就職できないということは本来ありえないと思います。例えば今中国では市場が非常に拡大しており、日本語も中国語も話せるような人材には大きな需要があるはずです。にもかかわらず就職できないケースがあるとすれば、どこかにミスマッチがあるのではないかと思います。
日本社会の問題としては、戦後の高度成長時代にできたシステムが昨今の経済のグローバル化や情報化に対応できなくなっていることが挙げられます。例えば大学は必ずしも市場における需要と供給の変化を十分に察知しているとはいえず、企業も新卒を一括採用する昔の考え方のままです。その中で一番悩まされるのが外国人留学生なのです。既に出身国での勤務経験があり優秀であるにもかかわらず、情報が十分ではなかったためそれほど知名度のない大学に在籍している場合もあり、学歴で判断された場合にはなかなか自分の力を活かせるポジションにたどり着けないケースもよく見られます。
日本の大学に関して言えば、産学の交流が少ないので留学生を人材としてみる視点が弱いです。留学生は院生になる場合が多いですが、日本では院に行く人は研究者になると思う傾向が強く、これは日本企業にとって人材のロスであると考えられます。非常に優秀な院卒の留学生を企業の中で活かしていこうという発想がなく、彼らの企業への就職をサポートする社会基盤も弱いです。
日本人とは異なる教育や文化のバッググランドをもつため、留学生は異質的な存在ともいえます。だが、企業組織を活性化させるためにはあえてこうした異質性をもつ人材を積極的に採り入れていくべきだと思います。留学生の活用や海外からの人材導入はこれからますます拡大すると思いますが、しかし今まで就職で苦労した留学生は「本国では優秀な人材として処遇されたのになぜこれほど苦労しなければならないのか」と愚痴をこぼしたくなることもあるでしょう。留学生として平常心を失わないため、まず日本社会の制度や慣行を理解しなければなりません。そのうえで、自分を信じて能力を高め、1度や2度挫折してもあきらめることなく、自己の専門領域を確立していくことが大切だと思います。
――留学生の起業について。
日本はこれまで大企業という組織形態で成功してきましたが、情報化時代になって小規模組織の価値が再発見され、必ずしもみなが大組織に帰属する必要はなくなってきています。その中で新しいビジネスが生まれ、日本人学生と留学生が共にベンチャーを立ち上げるような動きも増えています。能力のある人は、そのようなことに積極的にチャレンジして良いと思います。日本も大きな組織に依存していれば安泰という時代ではなくなりました。留学生もあえて郷に入りては郷に従う必要はなく、日本に新風を起こし、この社会を変えていこうとする姿勢も必要ではないでしょうか。
留学生は2つ以上の文化を体験していますが、それは大きな財産です。母国にずっといればまず得られない留学経験を大切にし、チャンスを求めて努力していくべきです。それが、母国と今住んでいる国の双方に対する貢献につながっていくに違いありません。