2014-06-26
6月の中国ニュースを色々チェックしています。中国国家統計局上海調査チームが6月12日に、500人余の上海人に対する調査結果を発表しました。それによると1年以内にマイホームの購入を考えている者は1割もいない(9.7%)。
これは昨年同期より約10%も下がっています。あれほど活気だった中国の不動産市場。最近、すっかりの元気を失っていますね。だからといって、中国経済はもうダメだ、と言うのも決して正しいとはいえません。
なかなかの好景気を謳歌している分野もたくさんあるのです。その一つは、ネット通販です。先月に中国ネット通販大手のJD.com(京東商城)がナスダックで上場し、17億8,000万ドルの初値をつけたことが話題になりました。JD.com(京東商城)は、中国では第2位のネット通販会社。その最大のライバルといえば、中国ネット通販最大手として知られる「アリババ」です。アリババも米国での上場を急いでいるが、JD.comに先を越されたというわけです。
もちろん、そのアリババも手をこまぬいているわけではありません。6月17日の中国最大通信社・新華社のニュースによると、アリババが「中国郵政」と戦略提携が発表されました。「中国郵政(チャイナポスト)といえば、中国最大の国有の郵便サービスの会社。全国に10万以上の郵便局を展開しています。アリババはそれをネット通販の配送サービスの拠点として活用できれば、今後、農村地域にもネット通販が浸透していくことができます。
ここで少し中国のネット通販を説明しましょう。中国のネット通販は基本的にB2C(企業対個人)とC2C(個人対個人)の2つに分かれています。日本のネット通販に例えば、それぞれ「楽天」と「ヤフーオクション」のようなサービスです。アリババ社傘下には「淘宝(タオバオ)」と「天猫商城(Tモール)」という2つの事業はありますが、タオバオは中国のC2Cネット通販をほぼ独占しております。片方、B2Cのネット通販においては、「天猫商城(Tモール)」は市場のおよそ半分を占めており、JD.comは20%シェアの2番手となっています。
「淘宝(タオバオ)」では、最近あるモノが飛ぶように売れています。それはFIFAワールドカップの宝くじです。6月13日の1日だけで「淘宝(タオバオ)」で宝くじを買っている人はなんと400万人(中ではワールドカップの宝くじを買ったのは200万人)、6月16日にはさらに600万人、17日にはさらに650万人、、、、ワールドカップが終わらない限りはこの勢いは止まらないのでしょう。
一方、6月には、「天猫商城(Tモール)」に、日本の「無印良品」もネットショップを構え、Tモール向けの独自商品を開発・販売していくことになったのです。無印良品はすで上海や北京などの大都市を中心に100店舗以上を構えていますが、中国での販売価格は日本の倍くらいなので、一応、高価格商品です。こうした高価格商品も今は、ネットで売る時代になったのです。
その「天猫商城(Tモール)」でも飛ぶように売れる物があります。6月18日の1日に、100万台もの携帯電話が売れたのです。6月18日に何があったのかというと、実はTモールにとって最大ライバルのJD.comがナスダック上場後の、初の大型販促キャンペーンの日です。Tモールはそれに負けてはいけないと、家電、ファッション、化粧品、インテリアなどの商品の販促キャンペーンを始めたわけです。そして結果として100万台もの携帯電話が売れたというわけです。
さあ、JD.com はどうやって反撃に出るのでしょう。6月22日にJD.comは「汽車之家」(Autohome)との戦略提携を発表しました。「汽車」とは中国語の自動車のこと。「汽車之家」とは自動車の家のことですが、中国最大の自動車情報サイトです。先月、成都でカーユーザー調査をしていたが、参加者はみな口を揃って「汽車之家をみている」と言います。6月24日から、全国17の主要都市の「汽車之家」の会員ユーザーは、JD.com で車を購入できる、というキャンペーンがこれから始まります。約20以上の自動車ブランドで80車種が販売されるそうです。中国は今、世界最大の自動車販売大国です。自動車販売もネット通販の時代に突入しそうです。最後に「中国の調査会社アイ・リサーチによると、2014年1~3月期の中国のネット通販の取扱量は前年同期比27.6%増の4564億元(約7兆4000億円)で、今年のネット通販の成長率は30%になると予想されています。ネット通販の好景気はまだまだ続くのでしょう。
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